上大夫語り1


 楊任といえば、あの目が手が…な人(?)なのですが、媒体やアレンジ版によって設定が変わってるんです。
ってなわけで、どんな楊任さんがいるのか調べてみました(とりあえず読めたものだけ)。
それぞれイラスト入り(無謀)で紹介しちゃうぞ!
主観はいってますがあしからず。


道徳真君もむちゃなことするよな…
許仲琳著;完訳・封神演義
光栄発行。多分原典に一番近いのがこれ。
上中下構成でハードカバーなのでちと高い。

 最初は殷の上大夫として登場。黄飛虎に意見を述べるなど慎重派タイプ。同僚が次々と処刑されていく中で殷の行く末を案じているが、姜子牙が鹿台建設を断って川に飛び込み自殺した(ふりをして逃げた…)のを知り、紂王を諌めに行く。
なんとか紂王を説得させかけるものの、傍にいた妲己があわてて紂王に術をかけたため、突然怒り狂った紂王に、目を抉る刑を言い渡される。その後気絶したところを清虚道徳真君にたすけられそこで弟子入りする。
 その後姜子牙が武王と殷討伐に出兵した軍に派遣され、持ち宝貝「五火神焔扇」で呂岳、張ケイなどをたおし武功をあげるが朝歌の手前で袁公により撲殺。甲子太歳神に封神される。

*ハマチの感想*
 さっき慎重派タイプって書いたけどおとなしいって訳じゃないです。結構好戦的だし(?)処刑される前に紂王に捨て台詞はくし。あと目から手をはやされてんのにすぐ「助けていただいてありがとうございます」なんていうのもどうかと思う。まぁアノ手の小説の登場人物はみんな頭の切り替えがはやいけどさ。
それにしてもすばらしく異次元な風貌、中国人の想像力ってすごいよなぁ。
ちなみに朱色の文官服を着ているらしい。

サボり魔。
安能務訳・封神演義
 別名講談社版。訳となっているがけっこうオリジナル色が強いのでむしろ妙訳といったところかな。ジャンプコミックス番の原作ということになっているが全然違う。けれどジャンプ版の封神にはまって小説を読もうとしたならこれが一番読みやすいと思う。

*ハマチの感想*
 この作品の上大夫が一番好きです。
基本的には上の原作と変わらないのですが、なんかこう性格がまるくなったというか、物腰がやわらか。紂王への諫言シーンも「民が苦しむのをこれ以上見たくない」「ならば見なければいい」という風になんで目をえぐられたのか意味がわかるし。そういえば韋護と仲がいいのもこの作品のオリジナルだったのですね。癒し系コンビ、よくいっしょに戦争をさぼっています(笑)。

よくしゃべる、ひたすらしゃべる。
PSゲーム版・封神演義
 光栄から出たシュミレーションRPG。封神演義ブームにのせて発売したと思われがちだが実は企画はそれよりずっと前にでていたらしい(開発者のホムペより)。システムはタクティクス系だが初心者でもわかりやすい。ストーリーは原作と似ていて異なる。仲間が最後まで封神されないのは個人的に救いです。
 ステージ毎にちょっとしたイベントやアニメが入ったりする。キャラデザがよい!今風にアレンジされつつ、ちゃんと中国しています。メインキャラは岡崎武士氏デザインで、その他はタッチをにせて描かれている。表情も数種類かあり、わたしは「落ち込み望ちゃん」「うなだれ楊せん」がお気に入り。コレが見たいが為に何回太公望や楊せんを殺したことやら・・・(鬼)。後に愛蔵版も出た(こちらはすこし付けたしがある)。

 殷の宰相。紂王が鹿台を建設しようとして〜(以下略)はおなじ。五火神焔扇を手土産に、西岐につくまえに仲間になる。タイプとしては知力に傾いてて体力も速度も技量もない。いわゆる魔法使い系。掌中目は宝捜し用。台詞がいちいち(校長風に)長い。

*ハマチの感想*
 さいしょう・・・・宰相!?出世してる〜!!(ガビ〜ン)
しかしこの人にはたして宰相なんて大役が勤まったのか疑問(失礼)。というか某スタッフのホムペに「ひとはいいんだけどいまいち状況判断があまい宰相」と評されていた。でももしかしたらカミソリだったのかもしれない。
 しょっぱなから戦場で長話。あの望ちゃんにまで困られてしまうテンポのずれ。でもそれがイイ味をだしてるとおもう。掌中目を目隠しで隠したのはグッドアイディアですね。
 この上大夫もとい宰相も韋護と仲が良いです。これはどうやら講談社版へのオマージュみたい。韋護がとても無口なので二人の口数を足して二で割るとちょうどよくなる(笑)。
ちなみに私はもう(愛蔵版を含めて)7回以上このゲームをプレイしているのですが、なぜだかいつでも楊任と韋護が最強になってしまいます。楊任に至っては五火神焔扇を振るだけで烏兵を大量虐殺しています。次点で蘇護と鄭倫かな。このコンビも好きだー。

趙・髪型(笑)
藤崎竜作・封神演義
 別名ジャンプ版封神。封神をこれで知った人が殆どじゃないかな。
途中から「原作:安能務」の一言が入るようになったのは実は申公豹の雷公鞭が原因だというのは本当だろうか??第一話でいきなり小説の前半殆ど(太公望が出てくるまで)をすっとばした。最初はそれでも割と原作に忠実に描いているが中盤からオリジナル色が強くなり、あとはジャンプらしくみごとに脱線してしまった。でも、その脱線すら複線の一つだったのを知ったときは感激したなぁ。キャラクターの名前だけ等しい別作品としてみるならば、とてもよく出来た作品だと思います。太公望や聞仲がかっこいい…!!
 キャラクターデザインの奇抜さも魅力。個人的に申公豹がお気に入り。

 宮廷画家。妲己の肖像を前衛芸術で描いた為、怒りをかって目を抉られるが、そのすばらしいセンスとトレビア〜ンな髪型(趙公明談)を趙公明に気に入られて趙公明にたすけられる。その際「宝貝・神の見えざる手」をさずかる。最初は趙公明の召使として太公望の前に立ちふさがるが、改心した後趙公明の攻撃から太公望をかばって封神される(このとき実は「神の〜」は伸びることが判明)。

*ハマチの感想*
 上でああ書いたけど私はあのキャラデザに泣かされた一人です。ひどいやフジリュー…(涙
、水浸しの船底での楊ぜんとの対決シーンは変態にしか見えません(泣)。ところでなんで楊ぜんと戦ってるんだろう。名前が似ているからか?ジャンプで出てきたときわたしはあまりのショックに、原作趙公明ファンの後輩Kと語りあかしましたが・・・。
ごめんよK、わたしはジャンプの趙公明は結構気気に入っていたりする。

それにしても前衛芸術家を宮廷画家として雇う殷王朝の気概に惚れます。
回想シーンの満足げな表情の画家は結構かわいいかも…
その他

台湾のオンラインゲーム「封神2 仙界傳」
仙人の一人として登場しているようです。見た目は目を閉じた青年風。
衣装が目や手をモチーフにしているようです。デザイン苦労したんじゃないかな…(笑)。
公式サイトは中国語文字をインストールしていないと文字化けします。

加藤徹著;小説封神演義/PHP文庫
こちらにも出ているらしい。良い評判を良く聞くので、ぜひ手に入れたいのですが、絶版なんです。というわけで、もっか捜索中。

自分フィルターかかっています
お・ま・け
ハマチ版オリヂナル上大夫楊任。

ごめんなさい、もはや名前が同じだけのオリジナルキャラクターと化しております。
いろいろと封神文献や古代中国資料等を立ち読んだ上で都合のいい所のみ抜き出しました(笑)。服装とかも「なんとなく」でデザインしたので(あの時代に眼鏡はないなど)色々おかしいところがあると思いますが、本人が気に入っているのでそこは見逃してください。
服の色も雰囲気だけで緑に決めました(そのときは原作を読んでいなかったので朱色の文官服とは知らなかった)。でもその後出たコーエー版ゲーム封神の色設定と似ていて(韋護も)少しうれしかったです。